旅の一日目。この日は、北海道行きのフェリーに乗るために舞鶴へと向かう。始めての旅なだけに不安が大きい。ひとり旅のノウハウなんて全然ない。
昼過ぎに家を出る。京都駅に着くと、ちょうど良い具合に特急列車がホームに停まっている。自由席に乗ったが、人は少なめだったので優々と座席に座れた。
京都は南側を除いて三方が山に囲まれている。山陰本線を北へと向かうのだが、やはりここにはトンネルがあり、トンネルを抜ける時に空気圧で耳が「キーン」となる。遠くに出かける時の儀式みたいなものだから、少し嫌だけれど我慢我慢。
午後6時、東舞鶴に到着する。駅を降り、フェリー乗り場のある埠頭へと向かう。小雨が少しずつきつくなってきたので、折りたたみの傘をしぶしぶ取り出す。前島埠頭に到着、フェリーの出向までだいぶ時間がある。窓口で先に乗船の手続きを済ませて、時間つぶしに写真でも撮ろうとデジカメを出していると、地元のおじさん(?)が近づいて来る。おじさんに「まだ時間があるから家に来てご飯を食べよう。風呂もあるよ。」と誘われる。良い人なのかもしれないが、かなり怪しく思ったのでお断りする。
雨の中、写真を数枚撮ってから商店街の方へと向かう。時間が遅いからか、寂れているからか、殆どの店がシャッターを閉じている。本屋で文庫本を買い、コンビニみたいなお店でパン、缶コーヒー、アポロのチョコレートを買う。20時30分頃、埠頭にある「なぎさ」という食堂でテレビを見ながら550円のエビフライカレーを食べる。フェリー乗り場へ戻ると、さすが舞鶴だけあってか待合室はミリタリーな人達で溢れている。自衛隊も同じ船に乗るようだ。異様な雰囲気の中、買った本を読みながら乗船を待つ。
フェリー「らいらっく」に乗ると、2等寝台165号というところを案内される。23時30分、出航。歯を磨いてすぐ寝床につく。フェリーの音や振動、それまでのこと(もしや人さらい?)に、「すげー」と感動しながら眠る。